絵文字は誰が作るのか? ユニコード、そして機種ごとに見た目が違う理由

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毎年、新しい絵文字が数十個追加されるというニュースが流れます。ところでこの絵文字、誰が決めているのでしょうか。アップル? グーグル? そして、同じ絵文字なのに iPhone から送ると Galaxy では微妙に違う見た目になるのはなぜでしょうか。今回は、絵文字が生まれてから自分のスマートフォンの画面に描かれるまでの旅路を整理します。

絵文字の正体 — 絵ではなく番号です #

まず誤解をひとつ解かなければなりません。メッセージで絵文字を送るとき、画像ファイルが送信されているのではありません。送信されているのは番号です。

コンピューターの世界には、世界中のすべての文字に固有の番号を付けて管理するユニコード(Unicode)という標準があります。ひらがなの「あ」にも、アルファベットの「A」にも、漢字にもそれぞれの番号があります。絵文字はこのリストに、文字とまったく同じ資格で登録されています。にっこり顔の絵文字もひとつの「文字」であり、固有の番号を持っているのです。

つまり絵文字を送るというのは、「この番号の文字を表示して」という依頼を送るのと同じです。受け取った機器はその番号を見て、自分が持っているフォントで絵を描きます。この構造が、このあとのすべての話の鍵になります。

誰が作るのか — ユニコードコンソーシアムの審査 #

新しい絵文字を追加する権限は、特定の会社ではなくユニコードコンソーシアムという非営利の標準化団体にあります。アップル、グーグル、マイクロソフトのような会社が会員として参加していますが、決定は委員会の審査を経ます。

面白いのは、誰でも新しい絵文字を提案できることです。ただし提案が通るには根拠が必要です。どれだけ多くの人が使うと見込まれるか、既存の絵文字で代用できないか、特定のブランドや流行語に縛られていないか。こうした基準を書類で立証しなければならず、審査から誕生まで普通は数年かかります。実際に、個人の提案から出発して標準になった絵文字がいくつもあります。逆に、特定企業のロゴのようなものは原則として通りません。

同じ絵文字が機種ごとに違って見える理由 #

ユニコードが決めるのは番号と名前、そしておおよその意味までです。たとえば「にっこり笑う顔」という定義までが標準で、その顔をどう描くかは各社の仕事です。アップルはアップルの絵文字フォントで、サムスンはサムスンのフォントで、グーグルはグーグルのフォントで、同じ番号をそれぞれ違うふうに描きます。

だから同じ絵文字が iPhone と Galaxy で違って見えるのは、バグではなく構造です。かつてはこの差が誤解を生むほど大きかった事例もあります。ある機種では「歯を見せてにっこり笑う顔」に描かれた絵文字が、別の機種では「歯を食いしばったぎこちない表情」に描かれ、送った側の意図と受け取った側の解釈が食い違ったのです。最近は各社がデザインを互いに寄せていく傾向にあり、差はだいぶ縮まりました。

家族絵文字の秘密 — 実は合体です #

絵文字のリストを見ると、家族構成、職業、肌の色まで組み合わせは数千通りありますが、このすべての組み合わせに番号をひとつずつ付けていたら、リストが手に負えなくなっていたはずです。実際には結合という気の利いた方式を使っています。

  • 家族の絵文字は、大人の絵文字と子どもの絵文字を、見えない「接着剤の文字」でつなぎ合わせたものです。受け取った機器がこの組み合わせを理解すれば 1 枚の家族の絵として合成して描き、理解できない古い機器なら、大人、大人、子どもがバラバラに表示されます。
  • 肌の色は、基本の絵文字の後ろに肌色調整の文字を付ける方式です。手の絵文字 + 肌色の文字が合わさって、その肌色の手として描かれます。
  • 職業の絵文字の中には「人 + 道具」の結合で作られたものがあります。人とコンピューターを合わせると開発者になる、という具合です。

レゴブロックのように、基本のパーツを組み合わせて多様性を表現する設計です。

四角い箱(□)に見える理由 #

友だちが送ってきた絵文字が自分のスマートフォンで四角い箱やはてなマークに見えたことがあるなら、もう原因を推理できます。絵文字は番号で送信され、絵は自分の機器のフォントが描きます。ところが自分の機器のフォントがその番号を知らなければ描けないので、「ここに文字はあるけれど、私には描けません」という印として四角い箱を見せているのです。

新しい絵文字は毎年追加されますが、スマートフォンのフォントは OS のアップデートのときにしか更新されません。最新機種の友だちが出たばかりの絵文字を送ると、アップデートの遅れた自分の機種では箱に見えるわけです。新しい絵文字が発表されてから実際に使えるまで数か月かかるのも同じ理由です。各社が絵を描いて、OS アップデートに載せて配らなければならないからです。

まとめ #

  • 絵文字は画像ファイルではなく、ユニコードに登録された番号です。送るときは番号が飛び、絵は受け取った機器のフォントが描きます。
  • 新しい絵文字はユニコードコンソーシアムの審査で決まります。誰でも提案できますが、使用需要と代替不可能性の立証が必要です。
  • 標準が決めるのは番号と意味までなので、同じ絵文字でも会社ごとに絵が違います。iPhone と Galaxy で見た目が違う理由です。
  • 家族・職業・肌の色の絵文字は、基本の絵文字を見えない文字でつなぎ合わせた組み合わせです。古い機種でバラバラに見えるのがその証拠です。
  • 四角い箱は、自分の機器のフォントがまだその番号を知らないという意味で、OS アップデートが新しい絵文字の配達トラックです。
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