AWS Certified Solutions Architect - Associate (SAA-C03) #14 Domain 4-2 コスト最適化 — コストモニタリング
#13 価格モデル でコストを削減する選択を扱いましたが、今回は コストを可視化し、予測し、制御するツール を扱います。これらのツールは名前が似ていて役割を取り違えやすいため、「何のためのものか」を一行で区別することが試験の核心です。
コストを可視化して予測する — Cost Explorer #
Cost Explorer はコストと使用量を 可視化して分析する ツールです。時間に沿った推移、サービス別・タグ別の分解、そして 将来のコスト予測 を提供します。「過去数か月のコストがどこで増えたかを分析し、今後を予測せよ」という要件への答えです。
予算を設定して通知する — AWS Budgets #
AWS Budgets はコスト・使用量の しきい値を設定し、超過 (または超過予測) 時に通知 を送ります。コスト予算、使用量予算、Reserved/Savings Plans のカバレッジ予算などを設定できます。「月の予算を超えたら知らせてほしい」という要件なら Cost Explorer ではなく Budgets です。
区別: Cost Explorer は分析・予測、Budgets はしきい値の通知。 この 2 つが試験で混同される定番のペアです。
最も詳細な請求データ — CUR #
Cost and Usage Report (CUR) は最も 詳細な 請求・使用データを S3 へエクスポートします。Athena・QuickSight で分析できます。「ラインアイテムレベルの最も詳細な請求データが必要だ」なら CUR です。
点検と推奨 — Trusted Advisor と Compute Optimizer #
| ツール | 役割 |
|---|---|
| Trusted Advisor | コスト・セキュリティ・性能・耐障害性・サービス上限を 総合点検 (アイドル/低使用率リソースの識別を含む) |
| Compute Optimizer | 使用メトリクスに基づく right-sizing 推奨 (EC2・ASG・EBS・Lambda) |
- Trusted Advisor — アカウント全体を点検して「使われていない EIP」「低使用率の EC2」「低い RI 利用率」のような削減機会を知らせます。コスト以外にセキュリティ・性能・上限も併せて見ます。
- Compute Optimizer — 実際の使用メトリクスを分析して「このインスタンスは一段小さいタイプで十分だ」のような 適正サイズの推奨 を提供します。
「アイドル/低使用率リソースを見つけてコストを削減せよ」は Trusted Advisor、「インスタンスを適正サイズに縮小せよ」は Compute Optimizer です。
マルチアカウントのコスト管理 #
会社が複数のアカウントを運用すると (#2) コストもアカウントごとに分散します。2 つのツールで整理します。
- 一括請求 (Consolidated Billing) — AWS Organizations で複数アカウントの請求を 1 つにまとめます。 使用量が合算されて ボリューム割引 と RI/Savings Plans の共有メリットを受けられます。
- コスト配分タグ (Cost Allocation Tags) — リソースにタグ (例:
team、project) を付け、コストをチーム・プロジェクト別に分解 します。
「複数アカウントのコストをまとめてボリューム割引を受けよ」は一括請求、「チーム別にコストを分けて見よ」はコスト配分タグです。
試験の出題パターン #
- 「コストを 可視化・分析・予測。」 → Cost Explorer
- 「予算 超過時の通知。」 → AWS Budgets
- 「最も詳細な ラインアイテムの請求データ。」 → CUR
- 「アイドル/低使用率リソース の識別。」 → Trusted Advisor
- 「インスタンスの 適正サイズ (right-sizing) 推奨。」 → Compute Optimizer
- 「複数アカウントの 一括請求 + ボリューム割引。」 → Organizations 一括請求
- 「チーム/プロジェクト別のコスト分類。」 → コスト配分タグ
よく出会う落とし穴 #
1) Cost Explorer で通知を受けようとする #
Cost Explorer は分析・予測ツールです。しきい値の通知は AWS Budgets です。
2) Trusted Advisor と Compute Optimizer を混同する #
Trusted Advisor はコスト・セキュリティ・性能・上限の 総合点検、Compute Optimizer は right-sizing 推奨に特化 しています。
3) 一括請求がセキュリティ隔離まで統合すると考える #
一括請求は請求をまとめるだけで、アカウント間のリソース・権限の隔離は維持されます (権限の制御は SCP など)。
4) コスト配分タグなしでチーム別コストを見る #
タグを付けて有効化してこそ、タグ基準のコスト分解が可能になります。
まとめ #
この記事で押さえたこと:
- Cost Explorer (分析・予測) vs Budgets (しきい値の通知) — 混同しないこと
- CUR — 最も詳細な請求データ (S3 → Athena/QuickSight)
- Trusted Advisor (総合点検・アイドル識別) vs Compute Optimizer (right-sizing 推奨)
- マルチアカウント — 一括請求 (ボリューム割引) + コスト配分タグ (チーム別分解)
これで コスト最適化ドメイン (20%, #13~14) まで、四つのドメインをすべて終えました。セキュリティ → 回復力 → 高性能 → コストへと、SAA-C03 の出題範囲を一周しました。
次へ — 試験のヒントとよく間違えるパターン #
ドメイン学習が終わりました。次は試験会場で得点を守る実戦戦略です。
#15 試験のヒントとよく間違えるパターン では、時間管理、制約キーワードで選択肢をふるい落とす方法、消去法の戦略、そして試験で最も混同しやすい概念のペア (Multi-AZ vs リードレプリカ、SG vs NACL など) を一度に整理します。